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中部大学通信ウプト199号に研究室紹介が掲載されています。そちらも参照下さい。

Q. どんな研究をしていますか?

A. 基本的に分析化学の研究室です。特に、細菌やミジンコなどの微生物、あるいはヒト血清や菌類(例えば冬虫夏草など)などの生体試料に注目して、それ らに含まれる成分を化学の目で精密に「はかる(分析する)」ための新しい方法を開発しています。目標としているのは、

 1) ごくわずかの試料量(マイクログラム単位)を使って、
 2) 面倒な試料前処理操作を一切用いずに、
 3) あらゆるバイオ物質の量や分子構造を迅速に精密解析できる

そんな夢のような分析法の開発です。全部かなえられたら本当に夢のような話ですが、最近、試料対象によっては、そうした「夢の分析」を一部実現することがで きるようになりました。特に力を入れているのが 、試料成分の特異な化学反応を行う「マイクロ化学反応場」と「高分解能ガスクロマトグラフィー」という装置を合体させた、新しい方法論の開発です。この手法の開発を通じて、例えば2マイクロリットルという極微量(一滴以下です!)の血液を試料に用いて、健康状態や病気に密接に関係する脂肪酸成分(EPAやDHA)の量を調べることに成功しました。また、最近問題視されている 消毒薬耐性菌を30分程度の短時間で簡単に判別する方法も開発しました。こうした不可能を可能にするような新しい分析システムを開発できれば、人の健康や医療の分野における進歩を大きく促すことができます。このように分析化学に留まらず、他分野にも大きく貢献することを目標にして私の実験室の4年生や院生は日々実験に励んでいます。

 その一方で、最近、亜臨界水や過熱水蒸気などの特殊な水を利用して、廃棄木材や食品廃棄物などのバイオマス資源を有効活用する実験も手掛けています。例えば、比較的大型の装置(「高周波支援型過熱水蒸気発生装置」といいます)を試作して、廃棄木材中のポリフェノール類を高効率に回収することに成功しました。ほかにも亜臨界水抽出装置というシステムの開発と応用を通じて、廃棄される魚中に多く含まれる多価不飽和脂肪酸成分をクリーンに高速回収することも可能にしました。これらの方法では、有機溶媒を一切使用せずに水だけを用いて有用成分の回収を行うことができます。このように、廃棄物系バイオマスの有効活用を環境に負荷を与えることなくクリーンに行う研究を進めています。

 以下に最近の卒業研究例を記します。

1. 細胞膜の直接分析に基づいた消毒薬耐性菌の迅速検出法の開発
 (名古屋大学医学部との共同研究)
2. ミジンコの精密化学計測に基づく新しい環境モニタリング法の構築
 (名古屋市環境科学調査センターとの共同研究)
3. 生分解性プラスチックを高効率に作る微生物の迅速スクリーニング法の開発
 (マレーシアUniversiti Sains Malaysiaとの共同研究)
4. 食品中のトランス脂肪酸の迅速定量に関する研究
5. ヒト血液中の多価不飽和脂肪酸の迅速定量法の開発
6. 日本の伝統材料の良さを分析化学の目を活かして解明する研究
7. 遺留品分析に基づいた放火現場で使用された植物油の決定
 (愛知県警科学捜査研究所との共同研究)
8. 廃棄物系バイオマスからの有用化学物質のクリーン回収法の開発
 (韓国慶南大学との共同研究)

 このように、私の研究室では対象とする試料は多岐にわたりますので、化学に興味のある人や分析技術を身につけたい人は勿論のこと、微生物学、食品化学や環境化学などなど色々な分野に興味をもっている人を歓迎します。

 

Q. この研究室で特に学ぶこと、また、この研究室の特徴は何ですか?

 研究を進めるにあたって、専門の知識を習得したり、あるいは信頼性の高い分析データを得るための技術やノウハウを身につけることが重要であることは言うまでもありません。もちろん、この研究室では、研究を通じて分析技術やそのノウハウ、またバイオマス有効利用の技術などをしっかりと身につけてもらいます。ただ、それに劣らず重要なことがもうひとつあります。それは、「自分で目標をたて、計画を立案・実行し、最後に成果をまとめてプレゼン及び自己評価する一連のプロセス」、これをしっかりとマスターすることです。このプロセスを身につけることができたら、就職あるいは進学といった進路を問わず、どの分野に進んだとしてもキーパーソンとしてしっかりやっていけると私は思います。

 したがって、私の研究室では、分析技術の習得も徹底してやりますが、それと同時に上記のプロセス遂行能力の習得も大きな目標としています。そのトレーニングの一環として、学生には研究会や学会などに積極的に参加し、研究発表を行うよう推奨しています。これは4年生も例外ではなく、毎年、5名前後の4年生はセミナー形式の研究会や、分析化学などに関係する学会にて研究発表を行っています(発表を希望する4年生が多い年には、5人以上参加させたこともあります)。4年生で学会などの舞台に立つのはなかなか大変なことですが、これはとてもやりがいのあることです。発表をやり遂げた4年生の顔は、人間的にも少し大きくなったような、充実した顔をしているように私は思います。こうした場で最優秀発表賞を受賞した4年生も 多くいます。また、大学院へ進学する人にとっては、他大学の先生や学生と交流を深めて「顔なじみ」になっておくことは今後の研究活動を行ううえで大変有意義なことです。

 以上のように、私の研究室では大学院生はもちろん、4年生も学会などの成果発表を一つの目標にしながら実験を行っています。こう書くと結構ハードだなあと思うかもしれません。しかし、実際には、私の研究室の院生や4年生は、和気あいあいと楽しみながら 賑やかに研究室生活を送っています。正直、最近は学生の元気の良さに押されっぱなしの私です。やはり、研究室は一種のファミリーのようなものであり、大切なのはチームワークです。実験やゼミを一丸となって進めるのはもちろんこと、時には 、いや、かなり頻繁にバースデイパーティー や飲み会などの親睦イベントを行い、研究室としての一体感を育てチームワーク を高めていくことも重要です。苦労もありますが、その分、楽しみも多いのが研究室生活です。やる気とガッツのある方、ぜひ一緒に研究室生活を送ってみませんか。