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はかる─はかりはかられる人と世界

「はかる」ことは人類の最も基本的な知的・実践的営みであり、それぞれの文化は「はかる」ことの固有の意味と技術を展開して、エスノ・サイエンスを築き上げてきたと思われます。西洋近代科学は、客観性・論理性・普遍性を具えた「はかる」技法を発達させて強力な計量的知識を生み出し、今日もさまざまな領域で新しい「はかる」技術を発展させています。しかしいかに強力であるとしても、それが「はかる」ことの一つの特異なあり方にすぎないことも否定できないでしょう。また、ガリレオが第二性質(熱、色、味、匂いなど)を量化しえないものとして除外したことに見られるように、排除されたものも多く、現在、そのことの問題性が問われていると思います。

他方、人間の知識の次元を、(1)知っているが、言葉で表現できない知(暗黙知)、(2)言語で表現される知、(3)数量的な知に区別すれば、数量的な知はその一様態にすぎません。さらに「はかる」ことにかんしても、暗黙知に属するものが多くあるでしょう(たとえば「推し量る」、「見当をつける」、「間をはかる」などで、そうした意味合いを込めて、「はかる」を平仮名表記にしました)。「はかる」ことの意味と技術を検討するには、これらの諸次元、とりわけ暗黙知の次元を考慮することが重要だと思われます。

この共同研究の目的は、「はかる」という言葉を出発点として、その多面的な意味づけと、はかる技術を文化的・社会的・および歴史的に検討し、そのことを通じて近代的知識の再検討と学問の再構築を目指すことにあります。また「はかる」という共通の場を設定することによって、理工系の先生方に加わっていただき、文理融合を図ることもこの共同研究の重要な課題であります。

先生方のご参加を心よりお待ちしております。

2004年9月
中部高等学術研究所副所長
阪上 孝

これまでの共同研究会

第1回研究会 2004年6月23日

問題提起
長島 昭
演題
「“はかる”における相対と絶対」

第2回研究会 2004年7月28日

問題提起
阪上 孝
演題
「人間をはかる、社会をはかる(1)」

第3回研究会 2004年9月22日

問題提起
橋本 毅彦
演題
「科学技術史における感性と計量」

第4回研究会 2004年10月27日

問題提起
柳谷 啓子
演題
「世界をはかるメタファー」

第5回研究会 2004年11月24日

問題提起
前川 和也
演題
「古代シュメールでどのように穀物が量られ、土地が測られたか」

第6回研究会 2004年12月15日

問題提起
井狩 彌介
演題
「世界をコントロールする“メタファー”」

第7回研究会 2005年1月26日

問題提起
武田 時昌
演題
「江戸の珠算文化とその情報源」

第8回研究会 2005年2月9日

問題提起
関村 利朗
演題
「生物現象をはかる―モデル化と数量化の展開―」

第9回研究会 2005年4月27日

問題提起
飯吉 厚夫
演題
「学問の再構築について」

第10回研究会 2005年5月25日

問題提起
藤井 知昭
演題
「美をはかる(?)」

第11回研究会 2005年6月29日

問題提起
後藤 武
演題
「空間をはかる」

第12回研究会 2005年7月27日

問題提起
山本 有造
演題
「数量経済史という方法」

第13回研究会 2005年9月28日

問題提起
泉 孝英
演題
「健康をはかる、病気をはかる」

第14回研究会 2005年10月26日

問題提起
渡部 展也
演題
「地表をはかる」

第15回研究会 2006年1月25日

問題提起
中田 力
演題
「こころをはかる」

第16回研究会 2006年2月9日

問題提起
瀬田 重敏
演題
「環境をはかる」

第17回研究会 2006年4月26日

問題提起
澁谷 鎮明
演題
「気と脈で国土をはかる」

第18回研究会 2006年5月31日

問題提起
佐々木 正人
演題
「アフォーダンスという単位」

第19回研究会 2006年6月28日

問題提起
藤井 賢一
演題
「キログラムの再定義をめぐる最近の動き」

第20回研究会 2006年7月26日

問題提起
高橋 英彦
演題
「心を読み、はかり、つなぐ」

第21回研究会 2006年11月8日

問題提起
山田 慶兒
演題
「罪の重さをはかる」

第22回研究会 2006年11月29日

問題提起
桃井 治郎
演題
「文明/野蛮をはかる」

第23回研究会 2007年1月24日

問題提起
佐々木 高明
演題
「『文化の豊かさ』がはかれるか ―民博での共同研究の成果の中から―」