JICA草の根技術協力事業
「ウガンダ共和国 絶滅危惧種ヨウム保全の地域連携モデルケース構築支援」
中部大学
2021-2025


JAPANESE TECHNICAL COOPERATION UNDER THE JICA PARTNERSHIP PROGRAM FOR PROMOTING REGIONAL COOPERATION FOR AFRICAN GREY PARROTS CONSERVATION IN ENTEBBE, NGAMBA, KIBALE IN UGANDA
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🦜新着情報🦜

押収ヨウムの受け入れについて

✓ 私たちの最新の活動状況は、現地カウンターパート UWECのFacebookおよび JICA Ugandaのtwitterでも紹介されています。

(その5)5月31日は世界インコの日だそうです。World Parrot TrustのRowan博士から各種ポスターを頂きました。


(その4)逮捕された密輸業者の判決が出たそうです。UWAの公告によると、禁固7年の刑になったとのことです。売れなければ、密猟・密輸をすることもないのが自明なだけに複雑な思いです。

(その3)1羽が死亡し、のこりは 116羽になりました。検疫用のケージからリハビリ用の飛翔が可能になるケージを建設する予定で、事務手続きを進めています。

(その2)4月24日にプロジェクトマネージャーと業務調整員がUWECに入り活動を開始しました。
押収ヨウムは、到着後2羽が外傷と失明によって死亡していました。現在117羽が残っています。2室の検疫室に収容していますが、人間を怖がっており、人間が近づくとケージの端に固まって警戒音を出し続けます。展示用に10羽ヨウムが動物園で公開されていますが、全く鳴き声が違います。このほか、現地で使用しているアパートの屋根にヨウムの家族が毎朝やってきます。母鳥と巣立ち後の子どものヨウムで、母鳥がおちついた優しい声でよび鳴きをすると子どもは、心配そうなこえで「ギャ」と鳴いてなんとか屋根から飛び立ちます。自然のなかで自由に生きるヨウムの姿は尊いです。彼らは、仲間と暮らし、ヨウム語で話します。電話の着信音のマネをしたり、人間の言葉を話す必要はありません。密猟がなぜ無くならないのか、ヨウムの取引がなぜとまらないのか。

(その1)昨日(2022年4月17日)の連絡では、ウガンダールワンダ国境のキソロで、ウガンダ野生生物庁(UWA)のレンジャーと現地警察が密輸業者を逮捕し、もっていた約200羽の違法取引ヨウムを押収し、生き残っているヨウム119羽をUWECに送ってきたと連絡がありました。
主翼がダメージを受けている個体が多いとのことです。このヨウム達をリハビリで救えるかどうか、これから1ヶ月が勝負です。

渡航開始について
2022年4月23日より、業務従事者をエンテベUWECに派遣し、現地活動を開始します。

契約締結について
採択からとても長くかかりましたが、ようやく2022年3月9日付けでJICAと契約締結できました。

富山市ファミリーパークとの協力について
富山市ファミリーパークで整備されている熱帯鳥類施設については、すでに報道されておりますように今年の夏頃にオープンの予定です(→熱帯鳥類施設報道) 私たちのヨウムプロジェクトとも連携して頂けます。また、2022年度よりサントリー世界愛鳥基金の助成を受けて、ヨウムの、野生復帰を想定し、ヨウムの出身地域の判別や繁殖ホルモンの解析、群れ飼育による繁殖などの技術開発に取り組みます。


背景

大型のインコの一種であるヨウムは、社会性が高く、知能も人間の5歳児以上と言われるほど高いため、飼育下では人間と直接コミュニケーションを取ることも可能です。そのためペットとしての人気が高い動物種です。こうした旺盛なペット需要を満たすため、アフリカの国立公園内で、各国の法律に違反して野生個体を捕獲し、欧米や日本、そして新興国富裕層へどんどんと輸出されてきました。ある推計では1980年から2000年までの20年間に、実に90万羽近くが捕獲されたとしています。その結果、これらの地域に於ける森林開発ともあいまって、野生ヨウムの個体数が激減し、絶滅が危惧される事態となってしまいました。 これに対応して、2016年のワシントン条約第17回締結国会議では、ヨウム野生個体の商取引禁止が議決されることとなったのです。しかし、2017年の推計では毎年4万羽以上が違法に捕獲され続けており、現在では、西アフリカヨウム原産国ガーナでは絶滅、コンゴヨウム原産国であるコンゴ民主共和国、コンゴ共和国、カメルーン共和国ではほぼ絶滅状態に陥ってしまいました。20年前には、アフリカ熱帯林の上空を数百羽ときには1000羽以上の大きな群れを作り自由に飛びかっていたヨウムを、これらの国々では、いまや全く見ることができなくなってしまったのです。 本事業の対象国であるウガンダ共和国は、図に示すようにコンゴヨウム自然生息地の東端にあたり、国内に複数の自然繁殖地も知られています。ウガンダ内のヨウム生息数は、両コンゴのような絶滅状態ではないものの、コンゴ民主共和国寄りの地域では近年の減少傾向が心配されています。このような状況にあるものの、ヨウムの保全についてワシントン条約の付属書I(商業目的の国際取引禁止、学術目的の輸出入に輸出・輸入国許可必須など国際取引に関する最も厳しいカテゴリ−)移行以上の具体的な対策はとられていません。そして、今後、ヨウムに対するワシントン条約適用厳格化が進むことによって、密輸摘発される個体数が増加すると考えられますが、それらを国際的に受け入れる施設も整備されていません。
ところでワシントン条約付属書Iでは、人工的に繁殖させた飼育個体自体の取引は禁止していないのですが、人工繁殖個体を商取引する場合には、環境省のようなワシントン条約履行を担当する官庁から「飼育下繁殖個体証明」の発行を受ける必要があります。ワシントン条約適用厳格化によって証明書が得られないケースが増加することが予想されており、証明書が得られないことが理由で、飼育放棄される個体数の増加も見込まれています。すでに、日本においても、大学や動物園への持ち込み打診が始まっています。その個体あるいはその子孫を収容し原生息地への野生復帰をめざすために、いわゆる中間施設として機能する保護増殖施設が必要ですが、そのような専門施設は存在していません。


目的
絶滅危惧種の絶滅回避のためには、生息域内での残存個体の保護徹底と生息域外施設での増殖と野生復帰が必要とされます。絶滅寸前まで追い込まれると、生息域内でいくら保護増殖事業を展開しても個体群の遺伝的多様性の喪失などによって個体数を回復させることはほぼ絶望的だからです。その場合、個体を再導入する必要があります。つまり、ヨウムを保護し、施設内で繁殖させ、野生復帰させることが必要になっており、そのためには、野生復帰技術を備えた施設の設置が必須になるわけです。 このような施設は、自然生息地に近い場所に作られることが理想的です。なぜなら本来の自然生息地と緯度、経度の異なる国では日照や気温、雨量も異なり、エサとなる植物相も異なっているため、保護個体の維持だけでなく繁殖を目指すこともなかなか困難だからです。ヨウムの場合も、原生息地へのヨウム野生復帰をめざすためには、保護増殖施設を原生息地に近い場所に設置する必要性があります。ウガンダには、遺伝的多様性を担保する野生個体がまだ維持されていること、UWECのような動物園があることなどヨウム保全の国際的基地となりえる条件がそろっているとかんがえられます。
さらに、せっかく増やしたヨウムを野生に帰しても、すぐに密猟されてしまったのでは効果は限定的です。ヨウムの密猟者は、多くの場合、貧困な森の人達です。密輸業者が森の人達の貧困につけ込むことによって密猟が続く現状は、ヨウムだけでなく多くの絶滅が危惧される希少生物の場合と同様です。そうした状況を少しでも改善する方法がアフリカ各地で模索されています。私たちも、ヨウムの保全がヨウムの放鳥予定地の森の人達の生活環境を改善できる道筋を見つけようとしています。


組織
プロジェクトマネージャー 牛田一成 (中部大学応用生物学部)サブプロジェクトマネージャー 西原智昭(星槎大学)、同 土田さやか(中部大学応用生物学部)、鎌田朱美(現地調整)のほか、中部大学ESD・SDGsセンター、一財)自然環境研究センター、北海道大学、岐阜大学、JAZA加盟の国内動物園数園、の参加、協力を得て進めます。 ウガンダ共和国のカウンターパート組織は、ウガンダ野生生物教育センター(UWEC)で、UWECがマケレレ大学獣医学部およびウガンダ野生生物庁の協力のもとで現地事業を進めます。


活動場所
UWECの所在地であるエンテベ(Entebbe)、過去に押収ヨウム個体の放鳥実績のあるビクトリア湖中のガンバ島(Ngamba)とウガンダ西部のキバレ(Kibale)で活動する予定です。